書評


ギャンブルの世界で”神の領域”とされる「勝率9割」を叩き出した男がいる。それが、『勝率9割の選択』の著書であるプロギャンブラーのぶきさんだ。

25歳のとき、人生を変える3つの出来事がキッカケで、プロギャンブラーへの道を歩み出したのぶきさん。以来、15年以上、82カ国を旅しながら、世界のカジノで勝ち続けている。

そんな著者が初めて上梓した本書には、「勝ち続けるための決断術」「全勝をもぎとる行動力」「勝ち続けるためのメンタル、そして思考法」「運をマネジメントするための方法」などが書かれている。

ギャンブラーというと”勝負師”と印象が強い。そのため、読む前は「相手を威圧するような強い言葉で書かれた本」を想像していた。だが、本書を実際に読んでみると、「言葉が孤独に耐えながらも正解のない道を進んできた男の、人生の深みを感じさせる言葉」が書かれていた。

特に印象に残ったのは、のぶきさんが人生を”波”として捉えている視点だ。そこには、瞬間の良し悪しに一喜一憂しないスタンスを感じる。

 勝負で大切なのは「波を感じにいく」こと。
 ギャンブルでは、場の流れを読むことがとても重要だ。

 波を感じることで一番大切なのは、落ち幅がわかること。
 
 落ち幅がわかっていると、こうして長いスパンで物事を見ることができる。

 底を知ることで運の波をコントロールできる。

 勝負を自分の手のひらの上で動かしていける。


人生には良いときもあれば、悪いときもある。誰もが知っている事実である。だが我々は、良い状態が続いたとき、それが永遠に続くものと思ってしまう。そして、ひとたび悪い状態に陥ると、右往左往としてしまう.....

しかし、波を感じながら生きていると落ち幅が想定できるため、状態が悪いときでも意外と対応できるものだ。そして、悪い状態のときでも、そのときに取れる”最善の手”を打つことができる。のぶきさんは長年の勝負の世界に身を置く中で、勝負の波を、そして、人生の波を感じながら、「良いときもあれば、悪いときもある」と、一歩引いた視点で自分を見つめながら生きてきたように感じる。

その精神が表れているのが、
「水になれ」と心構えを表した文章だ。これは、宮本武蔵が「五輪書」に書き表した自らの剣の目指す境地を示したものだが、ここには、運をマネジメントするための極意も表しているようにも思う。


 宮本武蔵の「五輪書」の「水の巻き」の中に、こんな一節がある。

 「自分の剣は水を手本としてきた。水は器に従い色形をなし、ひとしずくから大海原にもなる。心も体も自由に流れる水に習うのが肝要だ」

水は形がないので、状況に応じて形を変えることができる。つまり
柔軟ということだ。柔軟になるということは、ときに今までの形を捨てる必要が生じる。そんな心を手に入れたとき、状況に応じて気持ちを切り替え、物事に対応できる。

恐らくのぶきさんの物事を俯瞰する見方というのは、自らの努力と日々の振り返り、そして反省の中で培われたものだろう。だが、これは相当大変な作業だと思う。なぜなら、日々の振り返りを行い、掘り下げる作業を行うなかで、”自分のいやな部分”も直視しなければならない場面が必ずやってくるからだ。しかし、そんな”自分のいやな部分”を直視し、それを乗り越えるために、「洋書を800冊を読んだ」努力を行ったからこそ、勝率9割という”神の領域”に到達できたようにも思う。

大変な勉強の末に、己の道を突き進んできたのぶきさんが自ら開眼した心境を「ハラリと目隠しが取れたら、胸がゴールテープを切っていた」と表現している。そして、一つの物事を極めたのぶきさんの言葉には、”人生を悟っている”という風格を感じる。そんな「神の領域」に立った男が書き表した思考法が、この本の中にある!

最後に、今度は、のぶきさんの”神の領域”に至るまでの人生を描いた本を読みたいと思いながら、このレビューを終えたい。僕の願いを、どこかの出版社がかなえてくれないかなあ…


Gamble2
photo credit: Jamie In Bytown via photopin cc


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