本文引用


■凡人を最強兵力へと変える仕組みづくり


ナポレオンが欧州を席巻した原動力は、大きく三つありました。

①フランス革命で国民の「当事者意識」が高まった
②大軍を出現させた「国民徴兵制度」の導入
③師団をさらに改善した「軍団制度」の遠征力と機動力

①フランス革命で国民の「当事者意識」が高まった
国民に金でやとわれた傭兵が戦争を行うことに比べ、人間の自由と平等を掲げたフランス革命では、フランス人が「自ら祖国のため」に戦い、決死の覚悟で勇敢に戦闘を行いました。身分ではなく戦功で出世できることも兵士の士気を高めたのです。

②大軍を出現させた「国民徴兵制度」の導入
職業軍人による戦闘では欧州中の敵国に対抗できないと判断したフランス政府は、国民徴兵制度で他国が想像できないほどの巨大な兵員を手に入れました。前線の兵力を巨大化する制度を最初に実施した効果が発揮されたのです。

③師団をさらに改善した「軍団制度」の遠征力と機動力
軍の規模が20万人を超えたときから、師団をグループ化して軍団としました。例えば、11個師団を4つの軍団とするなど、複数の師団で進撃し、1つの師団が敵と遭遇した場合、各個に反撃して敵を食い止め、その間にナポレオンの指揮で他の師団が、足止めした敵の側面か背面を衝く。複数師団を機動的に活用する戦略で各国軍を撃破しました。

師団制度はビジネスの「事業部制」に似ています。一つの製品、一つの顧客に絞って、独立採算制をとっている点も、補給舞台まで個別に持つ師団に類似します。
軍団は、複数の師団がグループ化されたものなので、いくつかの事業部をまとめて関連会社化した、と考えるとわかりやすいでしょう。各敵に集中できる組織としたのです。
ナポレオンの軍事的天才も、彼の勝利の原因だと思われますが、歴史を振り返るとき、この三つの社会変化や制度改革が、フランス軍の初期の栄光に大きく貢献したことは間違いありません。なぜなら、ナポレオンのフランス軍がこの三点の優位性を失ったとき、勝利が消え、敗北の辛酸をなめることになったからです。

(中略)

欧州を制覇しながら、若いフランス兵は戦争で次々死んでいき、最終的には国家衰退の大きな原因となりましたが、ビジネス組織では、働く社員の高い当事者意識や、他社に優越する制度の確立は勝利の大きな原動力です。

そのような意識と制度を持つビジネス組織に、カリスマ性を持つリーダーが組み合わさるとき、やはり勝利が成し遂げられるのではないでしょうか。

(鈴木博毅著『古代から現代まで2時間で学ぶ 戦略の教室』より P47~P50)


感想


古代から現代まで2時間で学ぶ 戦略の教室』より「凡人を最強兵力へと変える仕組みづくり」を引用。

本書は、古代から現代までの有名な戦略を一冊の本にまとめたものである。

ナポレオンはイギリスを除く欧州の大半を支配したが、欧州侵攻を支えた組織が「軍団制度」であることは有名だ。そして、ナポレオンのようなカリスマ性リーダーの力が当事者意識を持った組織に加わったとき、そのチームは大きな力を発揮する。これは、現代のビジネスにおいても同じことが言われている。

ビジネスは”戦争”に例えられることが多い。が、こうしてみると、戦争で用いられた戦略が、ビジネスの世界でも用いられていることを改めて感じる。

本書には歴史上の人物が戦争に用いられた戦略も多数紹介されているが、歴史を紐解いていきながら、本書の考察を進めていきたいと思う。


※本書はダイヤモンド社・市川さんより献本いただきました。

Napoleon
photo credit: Alexander Steinhof via photopin cc



関連書籍



目次

 はじめに
 第1章 勝敗を分けるリーダーシップ戦略
 第2章 戦況を決定づける軍事戦略
 第3章 生産力を最大化する効率化戦略
 第4章 組織の限界を突破する実行力戦略
 第5章 突出した成果を出す目標達成戦略
 第6章 ライバルに勝利する競争戦略
 第7章 問題を解決するフレームワーク戦略
 第8章 強い組織をつくるマネジメント戦略
 第9章 ルールを変えるイノベーション戦略
 第10章 新たな生態系を生み出す21世紀の戦略
 おわりに


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次回も引き続き『古代から現代まで2時間で学ぶ 戦略の教室』の【本文紹介】を書くつもりではありますが....もしかしたら、妻のECサイトを紹介するかも?次回まで、お楽しみ〜!


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