トヨタといえば、言わずと知れた世界最大の自動車メーカーである。


販売台数、売上高、(そして、いつも驚かされる)利益額などの規模はもちろんのこと、品質管理が高さ、そして最近は仕事のやり方やトヨタの思考法が話題となる。

今回紹介する『どんな仕事でも必ず成果が出せる トヨタの自分で考える力』も、「トヨタのDNA」といも言うべき「5つの思考」について書かれた本である。


では、トヨタのDNAとも言える「5つの思考」とはどんなものであろうか?

本書の"はじめに"にはその概要が書かれているので、まずは紹介したい。


①改善思考

 知恵を出しながら現状を少しでも良いものに変えていこう、という考え方です。仕事において、言われることだけをやっていては周りから認めてもらえません。この考え方を身につけることで、「時間あたりの質」「頭を使うこと」の重要性を再認識することができ、今までより結果を出すことができます。

②横展思考

 発想や行動をずらしていこう、
という考え方です。企業において、同じようなことを別の部署で行っていたり、誰かが解決した問題に別の部署で取り組んでいるケースは非常に多く見聞きします。しかし、これはとてもムダです。横展思考を身につけることで、組織のムダや個人のムダを排除することができ、自身の視野が広がるため成長につながっていきます。また、新しいアイデアが生まれたり、少ない力で大きな成果を出すこともできるようになります。

③現場思考

 現場を最優先に理解して答えを見出そう、という考え方です。ある刑事が「事件は現場で起きている」と言ったのは有名な話ですが、どんなにテクノロジーが進化しても、現場の情報量には適いません。この思考を身につけることで、正しい判断力を得ることができ、自身の視野を広げられます。

④真因思考

 表面上の出来事ではなく本質を見抜いていこう
、という考え方です。仕事をしていれば、重要な決断をしなければいけなかったり、トラブルに直面して問題解決していかなければいけないことは多々あります。この思考を身につけることで、表面的な出来事に振り回されて安易な判断をせずに、本質を見極めて対応することができるようになります。

⑤行動思考

 まず動くことで新たな思考を生み出していこう、という考え方です。変化の激しい時代において、机上の空論を突き詰めていては状況に対応できなくなってしまいます。まず行動してみる、という行動思考を身につけることで、精度の高いアウトプットが出せるようになり、成長率が飛躍的に向上していくはずです。

(原マサヒコ著『どんな仕事でも必ず成果が出せる トヨタの自分で考える力 』より P9~P11)


例えば、トヨタの考え方で有名な「5つのなぜを繰り返す」がある。

一般的には「なぜなぜ分析」と言われている。

なぜ、5回"なぜ"を繰り返すかというと、徹底的に問いかけないと、真の原因にはたどり着かないからだ。

原因分析を行うとき、「なぜ」と問いかけながら原因を考え、洗い出す。

2~3回ほど「なぜ」を繰り返すことで"原因らしきもの"を出すことができる。

しかし、それ以上の「なぜ」を問いかけると答えに窮してしまう。

だが、真の原因は答えに窮した先に見出すことが多い


トヨタの現場で培われた知恵がDNAとなり、先輩から後輩へ、職場から職場に引き継がれてきており、それがトヨタ以外でも広く活用されているものは多い。

先ほどの「なぜなぜ分析」は、トヨタのDNAが「生きた知恵」として使われている典型的な例であろう。


しかし、トヨタのDNAともいうべき知恵が体系的にまとめられた本はなかったように思う。

本書には、そんな「トヨタの口グセ」ともいうべき38の言葉が物語とともに体系的にまとめられ、紹介されている。


その「38の口グセ」を以下に紹介したい。


1.時間は動作の影

2.頑張ることは汗を多くかくことではない

3.人間の脳は困らない限り知恵というのは出てこない

4.自動化

5.同じ石で二度転ぶな

6.代案もないのに反対するな

7.課題のない報告はいっさい受け付けない

8.ベンチマークし続けろ

9.多能工

10.横展

11.他部署を飯のタネと見ろ

12.算術より忍術

13.二階級上の立場で考えろ

14.自らを必死の場所に置け

15.三現主義

16.現場が先で、データは後だ

17.床にはお金が落ちていると考えろ

18.物に聞け

19.現実から離れないためには、数字から目を離すな

20.売れに合わせて売れるものだけをつくれ

21.離れ小島をつくるな

22.言い訳をする頭で実行することを考えろ

23.「不運」で反省を打ち切るな

24.機械は壊れるのではなく、壊すことのほうが多い

25.カタログエンジニアはいらない

26.逆らわず、従わず

27.責任を追及するものではなく、原因を追及することに心を砕くべきだ

28.モグラ叩きをしない

29.五回のWHY

30.真因

31.大切なのは「目的は何か」である

32.巧遅より拙速

33.人間関係は口より耳でつくれ

34.まずは、いい案より多い案

35.問題にぶつかるのは、運がいい証拠だ

36.できない100の理由より、できる1つの可能性

37.人間のやったことは、人間がまだやれることの100分の1にすぎない

38.変化こそが安全性を保証する


(原マサヒコ著『どんな仕事でも必ず成果が出せる トヨタの自分で考える力 』より P264~P271)


これらの「口グセ」の中にはハッとする「口グセ」もあるはずだ。

しかし、「口グセ」を見ただけでは「これはどういう意味なのだろう?」と思うものもある。

そんなときは、是非、本書の物語を読んでほしい。


本書を一言でいうと、「よくある現場の雰囲気を用いながら、"トヨタの思考法のエッセンス"を想像しやすい形で伝えている本」である。


現場でよくある話が物語形式で紹介されているため、これらの「口グセ」が何を指しているのか?どういう意味をもっているのか?が非常に分かりやすい。

そして、自分たちの現場でもどのような場面でこれらの「口ぐせ」をどのように活用するべきなのかが想像しやすい。


僕も含めて「仕事の基本の考え方を振り返りたい」と思うビジネスパーソンにとって、振り返りに適した本である。


トヨタの自分で考える力


関連書籍



目次


 第1章 どうすれば成果はあがるのか?【改善思考】

 第2章 視点をずらして1+1=3にする【横展思考】

 第3章 問題がわかれば九割解決できる【現場思考】

 第4章 本質をどう見抜くのか?【真因思考】

 第5章 スピードが解決を前進させる【行動思考】

 付録 「トヨタの口グセ」まとめ


【次回予告】 気になる方は登録を!→
follow us in feedly 
次回もお楽しみ!


ブログランキングに参加しております。よろしかったらクリックをお願いいたします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ


ITが苦手な事業主やブログ運営者のためのメルマガ! 登録はこちらをクリック!