2010年、発売と同時に話題となった一冊の本がある。それが『 U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術 』(C・オットー・シャーマー著)である。


なぜ、話題となったかというと、「出現する未来からの学習」というU理論が提唱しているアプローチが、「世界のリーダーに影響を与えた、組織や社会に変革をもたらす21世紀の思考法」として注目を集めたからだ。


21世紀を迎えた現代において、「過去からのアプローチ」では、答えの見えない命題が多い。しかし、その一方で、故スティーブ・ジョブズ氏に代表されるように、世の中をあっと言わせるようなイノベーションを起こした人物もいるのも事実だ。まるで、彼らには未来が見えていたかのように......そのため、「出現する未来からの学習」というU理論が提唱しているアプローチは、答えの見えない命題を解決するための糸口となる理論としてかなり期待された。


しかし、U理論を実践できるまで落とし込むまで理解することは困難だ。なぜなら、『U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術 』で書かれている内容が難解であり、一般的には理解されにくいことが原因であった。


僕も『U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術 』が発売されたときに読んでみたが、あえなく挫折した。600ページもある同書を読みこなすのは骨が折れる作業であり、しかも同書に書いている内容がピンとこない......そんな声が僕の周りからも多く聞かれた。

そのためか、同書が発売された当初は注目を集めたU理論ではあるが、しばらくすると、U理論に関する話題を聞かなくなった。


U理論の普及のための課題。それは、「U理論を実践するために必要な具体的な内容の提示」であった。


しかし今回紹介する『マンガでやさしくわかるU理論 』(中土井僚著)は、日常にありがちな問題を取り上げながら、U理論がどのようなものかをイメージしやすく書かれた内容の本である。


ところで、U理論とはどのようなものか?

まずは、本書の記述を用いてU理論を紹介したい。


 U理論とは、まさチューセッツ工科大学上級講師のC・オットー・シャーマー博士によって生み出された、「過去の延長線上ではない変容やイノベーションを個人、ペア(1対1の関係)、チーム、組織、コミュニティ、社会のレベルで起こすための原理と実践の手法を明示した理論」です。

(中略)

 U理論の大きな特徴は、優れたリーダーの「やり方」だけではなく、ブラックボックスとなりがちな彼らの「内面のあり方」、すなわち、卓越したパフォーマンスを発揮している過程において発生している彼らの「意識の変容」にも着目している点にあります。

 世の中には、ノウハウと呼ばれる優れたやり方に関する情報があふれています。しかし、ノウハウを真似たとしても、超一流の人たちが発揮している卓越したパフォーマンスを出せるものではないと思っている人も多いでしょう。アスリートの常人離れした集中力、優れたアーティストやクリエイターたちの創造性、聴衆を魅了する役者、歌手、プレゼンターの圧倒的な存在感、オーラなどといった卓越した力の源泉は、ノウハウ・やり方ではなく「内面のあり方」にあるというのがU理論の考え方です。そして、それこを私たちが見落としている盲点であるとオットー博士は指摘します。
 
中土井僚著『マンガでやさしくわかるU理論
より P56~P57)


では、「内面のあり方」に着目したU理論のアプローチはどのようなものか?それは以下の3つのステップから構成される。


センシング:
 ただ、ひたすら観察する

プレゼンシング:
 一歩下がって、内省し、内なる「知」が現れるに任せる

クリエイティング:
 素早く、即興的に行動に移す
 
中土井僚著『 マンガでやさしくわかるU理論
より P65~P69)


本書の内容を簡単に紹介すると以下になる。


「コンサルティング会社からヘッドハントされ、唐松味噌に転職した主人公であるマーケティング部長の久米祥子が、論理的には完璧な戦略を打ち立て、現場を動かそうとする。しかし、部下が思うように動いてくれず、社内で孤立してしまう。

要素が複雑に絡み合った"ルービック・キューブ型"の問題に悪戦苦闘する祥子。

そんな中、趣味の山登りを通じて、和菓子屋を経営する
大河内誠と出会う。そして、祥子はお父さんに似た雰囲気を持つ大河内からU理論をを学ぶ。U理論の実践を通じて、部下との関係を改善していくなか、部下とともにミソバターを軌道に乗せるため奮闘していく」


プロジェクトの中で部下との関係が上手くいかないことは、よくある課題である。そんなとき、先入観や自分のものの捉え方に固執するあまり、かえって関係がこじれてしまうことはよくあることだ。そんなとき、U理論を実践しながら祥子はどのように部下との関係を改善し、リーダーシップを発揮していくのか?本書の見どころはここにある。


日常的な問題を取り上げたことで、本書に書かれているU理論がイメージしやすくなっている。

U理論の入門書として最適な本である。

本書のポイント 

何をどうするかではなく、何者として立ち会うか?自分らしさとリーダーシップの統合と共創性の実現がU理論が指し示す可能性である! 






目次


 Prologue ロジカルな問題解決の限界

 1 U理論とは

 2 レベル1 ダウンローティング

 3 レベル2 観る

 4 レベル3 感じ取る

 5 レベル4 プレゼンシング1―出現する未来への入り口

 6 レベル4 プレゼンシング2―出現する未来から学ぶ

 Epilogue リーダーシップの実現とU理論



【次回予告】
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