投資バカの思考法 』(藤野英人著)は、先の見えない時代を生き抜くための思考法の本である。

投資家の仕事は、投資を通じて運用益を生み出すことだ。しかし、将来、投資先が益を出すのか?損を出すのか?は「神のみぞ知る」世界である。

そんな一歩先は不透明な世界の中で、著者の藤野英人さんは4年連連続ファンド大賞を獲得した投資家である。ちなみに、4年連続で受賞できる確率は「39億年分の1」という途方もなく小さな確率である。そんな「ライバルよりも高い精度で未来を予測している投資家」なのだ。

 
著者は、「未来が予測できなくても、長期的には勝ち続けることは不可能ではない」と述べている。

著者の未来を勝ちぬく思考法のエッセンスは何か? それを以下に述べていきたいと思う。



「貯金大好きな人」が損をする時代 


未来を不安に感じるのは「未来が見えない」からだ。特に、「格差社会」、「老後破産」など、世の中の不安をあおるキーワードが、雑誌や広告などでこれだけ出回っていると、不安になるのも当然である。

そのための防衛策として考えられるのが、「動かない」という選択である。その根底には、「現状を維持できれば、損をすることはない」という考え方がある。投資へのスタンスも同じであり、「投資をすれば相場によって損が発生するが、貯金をすれば損をすることはない」と考えている。

しかし、アベノミクスの時代において、この考え方は危険と著者は述べている。


日本銀行にお金をどんどん刷らせて、市場に出回るお金(円)の価値を下げる。これが金融政策としてのインフレです。

物価が上がることで現金の価値は相対的に目減りするので、これによって1000兆円の借金の価値を下げようとしているわけです。

日銀の黒田東彦総裁が行ったことから「黒田バズーカ」と呼ばれていて、円の価値は実質「3割」は下がったと言われています。

では、円の価値が下がると、どうなるか。

「現金をたくさん持っている人が損をする」ことになります。

「現金預金を持っていても、価値が下がるだけですよ。これからインフレにして、あなたが持っている現金を木の葉にします。それがイヤなら、投資か、消費をしなさい」
と現金の放出をうながすのが黒田バズーカの狙いです。

(中略)

ところが日本人は、現預金が大好き。投資も消費もしないまま現金を抱えています。

インフレになればお金の価値は下がるわけですから、現金は非常に危険な資産になっています。投資をしないことによって、現預金が目減りするリスクを負っているのが今の現状です。

藤野英人著投資バカの思考法
より P6~P8)



「動く人」と「動かない人」の格差が広がる時代に 


アベノミクスは「株価の上昇によって現金の価値を下げ、財政赤字を薄める」ための政策である。

よくアベノミクスは「金持ち優遇政策」と言われるが、本質は「現金を持っている人を優遇しているのではなく、株を持っている人を優遇している」であり、「現金を抱え込む人(動かない人)と投資する人(動く人)の格差はどんどん広がる」と著者は述べる。


これからの日本では、「希望最大化」戦略を取る人と「失望最小化」戦略を取る人、つまり「動く人」と「動かない人」の格差はさらに広がります。

(中略)

「動かない人」は、転職をせず、地域を離れず、狭い交友関係の中で息を潜めていて、買い物する場所も代わり映えがしません。投資も消費も消極的で、節約が大好き。

怖いから動かない。動かないから視野が広がらない。視野が広がらないからチャンスに気が付かない。

現状の不満を自分の責任ではなく、「世の中のせい」にしています。

では、なぜ彼らは動かないのでしょうか。

それは、先の見えない未来に不安だからではないでしょうか。未来に「失望」しか抱けないことで、動く勇気が持てずに、立ちすくんでいるように見えます。

藤野英人著投資バカの思考法
より P15~P16)



「未来に立って、今を見る」ための7つの力


未来は確かに見えない。とはいえ、結果を出している人がいるのはまぎれもない事実である。特に、投資の世界は不確実性の世界、その中で結果を残してきた著者もその一人だ。

では、著者はどのような視点で結果を残してきたのか?

一言で言うと、「未来に立って、今を見る」という未来を捉える視点である。

そのために必要な力が以下の7つである。



①洞察力・・・・・・主観を排除し、情報をフラットにとらえる力

②決断力・・・・・・やらないことを捨てる力

③リスクマネジメント・・・・・・変化を受け入れる力

④損切り・・・・・・過去にとらわれず、今を評価する力

⑤時間・・・・・・時間を味方につける力

⑥増やす力・・・・・・経済とお金の本質を知る力

⑦選択力・・・・・・未来の希望を最大化する力

(藤野英人著『
投資バカの思考法 』より P18~P19)

本書は、この7つの力を解き明かした内容となっている。

この7つの力の説明の中で、僕が印象に残った箇所を以下に紹介したい。

 

忙しさから抜け出したいなら、「刃を研げ」! 


最初に紹介したいのが、この箇所。

時間管理については僕も気になるテーマであり、念入りに読んだが、その中でも特に印象に残ったのがこの箇所である。


時間が大切であるとわかっていても、日々の仕事の中では、どうしても忙しさに追われがちです。どう解決すればいいでしょう。

スティーブン・R・コヴィー博士は『7つの習慣』の中で、第7の習慣として「刃を研ぐ」ことの必要性を説いています。「刃を研ぐ」ことの分かりやすい例として、次のようなエピソードを紹介しています。

「木を倒そうとして、ノコギリで引いているキコリがいた。何時間も仕事をしているので、『ノコギリの刃がボロボロですよ。少し休んで刃を研いだほうが、仕事が早く片付くのでは?』と声をかけた。するとキコリは、『刃を研いでいる暇なんてない。切ることだけで精一杯だ』と言い返した」

これは、耳の痛い話です。

忙しさの原因は、時間がないからではなくて、「ボロボロの刃で仕事しているから」かもしれません。切れ味の良いノコギリを使えば作業がはかどるのに、刃を研ぐ時間を「惜しい」と思ってしまうのです。

藤野英人著投資バカの思考法
より P170~P171)


これは耳が痛い!

確かに、「忙しい日々」となっている要因の一つは、「仕事を簡単にできない」ことがあるかもしれない。

「もっと簡単にするための工夫」を実際に試してみることで余裕が生まれ、新しいことにも取り組める時間が生まれる。

資料づくりにおいてExcelを使うことはよくあると思う。例えば、定型フォーマットの資料であれば、編集作業を手で行うのではなく、関数の利用、VBAマクロの利用で自動化することで、作業時間を削減することが可能だ。VBAマクロでプログラミングを行う時間にかかるかもしれないが、将来の作業時間の削減を考えたら、投資に見合う作業と思う。


これは一つの例であるが、何か動いてみることで、将来の何かが変わることを感じる例でもある。


最後に 


本書は「未来は見通すことはできないが、現状に留まらず、動いていこう」ということを説いた本である。

本書の最後には「小さな変化を積み重ねることで、人生を変える大きなアクションが生まれる」と説いている。

SNSへ投稿してみる。普段とは違う業界の人と交流をする。朝活に参加するなど、ちょっとした変化が今までと違う視野をもたらす。

視野が広がり経験を積むことで不安が少しずつ解消したが、不透明な時代においても「ちょっとした視野や経験があると意外と行動できる」ものである。

「動くことで可能性が見いだせる」、そのことを改めて考える機会となった本である。


本書のポイント 


何かを変えなければ、将来は変わることはない!むしろ現状より悪くなるかも? 「何を見て、どう考え、どう決めるのか」を考え、「小さな変化を起こすこと」が大事である。




関連書籍




目次


 序章 そもそも、「投資」とは何なのか? 

 第1章 洞察力 ―マーケット感覚を身につけたいなら、街を歩け― 

 第2章 決断 ―決断とは、やらないことを捨てること― 

 第3章 リスクマネジメント―リスクの分散とは「好奇心」の分散である― 

 第4章 損切り ―評価は常に「時価」で考える 

 第5章 時間力 ―「お金」、「効率」よりも大切なもの― 

 第6章 稼ぐ力 -「お金」と「経済」の本質をつかむー 

 第7章 選択力 ―未来に向けて、希望を最大化する戦略― 



【次回予告】
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次回もお楽しみ!


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