「説明したのに分かってくれない」
「話がかみ合わない」
「指示と違ったことをやる」
「早くやってほしいと伝えても、やってくれない」

部下とのコミュニケーションにおいて、先に書いた悩みを持つ上司やリーダーは多いと思う。


今回紹介する『
部下がきちんと動く リーダーの伝え方 』(吉田幸弘著)は、先の悩みを持つ上司やリーダーに対する「55のアドバイス」が書かれた本だ。

「55のアドバイス」の具体的な内容は本書を読んでいただくとして、本書のエッセンスを以下に紹介したい。



 

「伝えたつもり」になっていないか? 


本書で一番強調しているのが、「伝えたつもり」と「伝わる」は違うということだ。



では、この2つは何が違うのか?


一言で言うと「相手が自分の意図を受け取っているか?いないか?」という違いである。


本書では、以下のようにのべている。


部下に伝えたつもりなのに、きちんと伝わっていなかったという経験はありませんか。

そもそも「伝えたつもり」というのは、一方向だけでしか発信していない状態、受信できていない状態を言います。


一方の「伝わる」は、双方向のコミュニケーションが成立しているものです。

「伝える」だけではコミュニケーションは成立しません。「伝える」と「受け取る」がセットになって、はじめて「伝わる」になります。

吉田幸弘著部下がきちんと動く リーダーの伝え方
より P18)


なぜ「伝える」になってしまうかというと、相手目線になっていないことが原因としてあげられる。



上司やリーダーは業務知識も経験も豊富だ。しかし、「こんなこと、言わなくても分かるだろう」と自分目線でコミュニケーションをとるとギャップが生じる。

情報の少ない部下は、どうすればいいのかと途方にくれてしまう。


相手目線で伝えないと、「伝えたつもり」になってしまいがちだ。


「場当たり的」になっていないか? 


部下の立場で困るのは、思いつきなどによる上司の場当たり的な対応である。

みなさん、以下の指示をどのように思うだろうか?


①7月6日13時
 私 「横浜市のファーストフードを全部リストアップしといて」
 部下 「分かりました」

②7月6日17時
 私 「あっ、忘れてた。川崎市もお願い」
 部下 「はい、分かりました」

③7月8日10時
 (完成されたリストを見て)
 私 「まだ少ないな。あっ、ファミレスと居酒屋を入れて」
 部下 「分かりました」

④7月9日14時
 (できあがったリストを見て)
 私 「ずいぶん多いな。予算が合わないな。横浜市の○○区と○○区は抜いて」
 部下 「やれやれ・・・・・・」

⑤7月10日9時
 (できあがったリストを見て)
 私 「うん、今度は減りすぎだ」

吉田幸弘著部下がきちんと動く リーダーの伝え方 より P24~P25) 


このような指示を出されてしまうと、時間ばかりが過ぎ去ってしまう。

それに、部下は「いつまでたっても終わらない!」と、さすがに疲弊してしまう。最後は上司やリーダーを信用しなくなる......

分かってはいることではあるが、ついついこのようなコミュニケーションを取ってしまいがちになるものだ。


伝えるときは「引き算の発想」でシンプルに!


では、「場当たり的な対応」にならずに「伝わる」ためには何が必要か?


本書を読んで思ったことは、やはり「ポイントを絞って伝えることが大事」ということだ。


部下に指示を出すときは、「間違えないように」とつい、「あれも伝えなきゃ」「これも伝えなきゃ」と、盛り込みがちの指示になりがちだ。

しかし、あれもこれもいろいろと言われると、かえって混乱してしまう。


それゆえに、「何を伝えるか」「何を伝えないか」という選択が大事となる。



話が伝わるようにと、リーダーが言葉を増やせば増やすほど、部下には伝わらなくなってしまうのです。

リーダーが部下に話をする際には、「何を伝えるのか」も大切ですが、それ以上に「何を伝えないか」も大切になってきます。

伝わるリーダーほど、言葉は少ないものです。逆に伝わらないリーダーほど、言葉の数を増やそうとします。余計な情報はどんどん切り捨ててください。相手が結論を理解・納得するのに必要な情報だけを選ぶのです。

吉田幸弘著部下がきちんと動く リーダーの伝え方 より P34~P35) 



最後に 


上司やリーダーが部下に指示を出すにあたり、「部下が自分の意図を理解し、自分自身で動くことができるように」と意識している方が大半だと思う。


しかし、つい「伝えたつもり」になってしまうことが多々ある。しかも、伝えるにあたり、何が悪いのか?意外と自分のことは気がつかないものだ。


こういうときは、やはり自分自身を客観的にみるきっかけが必要となる。


本書の最後に書かれた「5W2Hシート」は自分の伝えたいことをしっかりと伝えることができるのか?それをチェックするのに役立つきっかけとなるチェックリストだ。



最後に本書は自分のコミュニケーションスタイルを客観的に振り返る良い機会になると思う。


部下との指示やコミュニケーションに悩む上司やリーダーは、是非、一度読んでみてはいかがだろうか?


本書のポイント 


盛り込みすぎるとかえって伝わらなくなる。5W2Hシートで確認しながら、「何を伝え、何を削るか?」を選択するのがポイント!


ITが苦手な事業主やブログ運営者のためのメルマガ! 登録はこちらをクリック!