雑談.....それは多くのビジネスパーソンにとって、興味あるテーマである。

また、『雑談力が上がる話し方―30秒でうちとける会話のルール』(齋藤孝著)に代表されるように、近年、雑談力をテーマとしたビジネス書が多く出版されている。これも、雑談が多くのビジネスパーソンに関心のあることの現れだと思う。

しかし、雑談をテーマとした多くのビジネス書は、上司や同僚との関係性を円滑にするなどの「コミュニケーションスキルの向上」を目的とした書籍である。もちろん、これらの本の"その先"の目的としては、営業力向上などの「成果を上げる」ことを意識をしている。しかし、テーマとしては直接は扱っていない書籍が多い。


だが、今回紹介する『一流の人はなぜそこまで、雑談にこだわるのか?』(小川晋平/俣野成敏著)の目的は、ずばり「お金になる雑談」だ。お金を直接的にテーマとして掲げる雑談の本は非常に珍しい。しかし、それはビジネスを意識する上で核心をついたテーマのように思う。 

では、「お金になる雑談」とは何か?本書のエッセンスを以下に紹介したい。

  

本書のテーマは「お金になる雑談」! 


まずは本書のテーマについて。

冒頭にて、以下のようにのべている。


お金になる雑談これが本書のテーマです。

この本の出版オファーをいただいたとき、まっさきに頭に思い浮かんだことがあります。それは、巷にあるような世渡りのための雑談術をビジネス書で取り上げてはいけないということ。

(中略)

そのため、この本で取り上げる雑談とは「ビジネス上の意図をもってしかけていく非公式のコミュニケーションすべて」と定義づけることにしました。

小川晋平/俣野成敏著一流の人はなぜそこまで、雑談にこだわるのか?
より P2)


多くの意思決定に関わる重要な情報は「雑談」からもたらされることが多い。たとえば、たばこ部屋での会話が代表的だ。

キーパーソンと最初は疎遠な関係であったとしても、たばこ部屋で顔を合わせるうちに、お互い、距離感がつかめるようになり、いつしか意思決定に関わる重要な情報を把握、さらには意思決定のための下準備をたばこ部屋で行うということも珍しいことではない。

極端な言い方をすれば、意思決定のためのほとんどは"雑談"で決まってしまい、会議はオフィシャルなお墨付きを得るための場でしかないことが大半である。

そのため、雑談を目的達成のために戦略的に活用しようと本書のテーマと掲げている。


一流のビジネスパーソンはなぜ雑談にこだわるのか? 


一流のビジネスパーソンほど、雑談を重要視している。

それは、やはり目的に達するためには、相手のガードが下がる雑談の場を活用するほうが、相手の本音を聞き出せたり、意思決定に関わる根回しが行いやすいためもある。


ただ、はっきり言えることは一流のビジネスパーソンほど意識的に雑談を活用しているということ。その理由は単純で、公式の場より非公式の場のほうがはるかに自分の目的を達成しやすいからです。

ボクシングで言えば会議や営業トークは相手が万全のガード体勢をとっている状態。かたや雑談中の相手はノーガードです。

(中略)

だからこそ一流のビジネスパーソンはなるべく雑談の領域で(自分の思惑通り)話をすすめて、あとは会議室での承認作業や契約書の作成などのクロージングのみ、という状態を作ろうと意識しています。

人はオフタイムだと身構えないので本音を語ってくれやすくなりますし、人の意見に対しても寛容になります。ということは相手から情報を引き出したり、相手の価値観を変えたいなら、会議室で真っ向から問い詰めるより、非公式な場で「雑談風」の会話をしかけるほうが断然有利なのです。

小川晋平/俣野成敏著一流の人はなぜそこまで、雑談にこだわるのか? より P17~P20) 


では、どのように雑談を仕掛けていけばいいのか?

「戦略的に雑談を仕掛ける」といっても、正直、あまりピンとこないのではないか?とたいていの方は思うであろう。

そのためのノウハウが第1章以降で展開される。

本書のノウハウについての詳細は本書をご覧いただくとして、ここでは、本書に書かれているノウハウのうち、最も気になったものを以下にピックアップしたい。


横断的なポジションをとりにいけ!


本書に書かれているノウハウの中で、最も気になったのが以下の部分である。



ビジネスパーソンの価値は、同じ領域のスキルは足し算でも、領域を超えた瞬間、掛け算に変わります。さらに、横断的なポジションを取れる人材は数が減りますのでさらに重要です。しかも、そのポジションを狙うならいずれの分野でもトップである必要はありません。このメリットは見逃せません。

(中略)

掛け算がハマると何が起きるかというと情報がどんどん集まってくるようになります。いわば社内の情報のハブになれます。

とくに大企業になればなるほどセクショナリズムが強いので、情報は限定化されがちです。そこに横グシを通しておくことで自分自身も情報を発信するチャンネルが増えますし、情報が出るところには絶対に情報が集まってきます。

小川晋平/俣野成敏著一流の人はなぜそこまで、雑談にこだわるのか? より P164~P166) 

仕事をする上で非常に重要だと思うのが「ポジショニング」である。特に仕事ができる人は、ポジショニングを重視している。

その理由は"情報が集まってくる"ことであり、「話を聞いてもらえる」「意見を通すことができる」などの"各種の調整がしやすい"ことである。

僕の周りを見ても、仕事ができる人というのは、「掛け算となるポジショニングを意識してとっている」のだ。


最後に 


本書のテーマである「お金になる雑談」「戦略的雑談」を行う上で重要と思うのが、「ゴールを常に意識する」ということだ。営業であれば「契約をとる」、マネージャーであれば「関係者との合意をとる」などがこれにあたるであろう。



本書では6章に渡って、各場面に応じた「戦略的雑談」のノウハウが書かれているが、ゴールを常に意識しながらどのようにノウハウを活用するのがよいか?」と考えることで、本書のノウハウがより生きると思う。


ビジネス書のテーマとしてはお目にかかることができない「攻めのテーマ」の本なので、興味がある方は、是非、読んでいただきたい。


本書のポイント 


ステークホルダーとの合意形成は「雑談」で決まる!「戦略的雑談」を仕掛けながらゴールにたどり着こう!



関連書籍




目次


 はじめに

 第0章 戦略的雑談とはなにか?

 第1章 相手の心が開く雑談の基本

 第2章 情報を引き出す質問と相づちの技術

 第3章 世代差を飛び越える雑談

 第4章 交流会・飲み会が有意義になる雑談

 第5章 社内で有利なポジションをつくる雑談

 第6章 営業が思い通りに進む雑談

 あとがき



【次回予告】
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次回もお楽しみ!


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